子どもが「学校に行きたくない」と言い始めた日のことを、あなたはどう思いますか?

不安で眠れなかった夜があったかもしれません。「何がいけなかったんだろう」と自分を責めた朝があったかもしれません。
この記事は、そんな保護者のみなさんに向けて書きました。現役の小学校教師として子どもたちと向き合ってきた経験をもとに、「学校が合わない子」との関わり方について、できるだけ正直にお伝えしたいと思います。
「合わない」の正体は、たいてい〝思い込み〟

学校が合わないと感じ始める子どもの多くは、実際に誰かから攻撃されたり、無視されたりしているわけではありません。
休み時間に「何をすればいいかわからない」という感覚から始まることがほとんどです。クラスメイトとの間に距離をなんとなく感じ、「自分はここに居場所がない」という思い込みが少しずつ育っていく。
目で見て距離を実感しているわけではないのに、頭の中で想像が膨らんでいくんです。そしてその思い込みが、「誰かに傷つけられるかもしれない」という不安へと変わり、クラスにいること自体がつらくなっていく。
この悪循環を断ち切るのに最もよいタイミングは、不安が強くなる前です。まず大人との関係をつくり、そこから子ども同士の横のつながりへ。自分から話しかけてくれるようになったとき、その子はきっと、少し前に進んでいます。
「行きたくない」と「行けない」は、違う

子どもが「学校に行きたくない」と言うとき、それは多くの場合、意思があるからです。「友だちが」「勉強が嫌だ」と口にする言葉は表面上のことが多く、真意は本人にも言語化できていません。でも、何かしらの理由があります。
一方で「行けない」状態、つまり本当に体や心が動かない状態というのは、判断がとても難しいです。大人でいうと、うつのような状態に近いかもしれません。周囲が「行けない」と確信を持てるのは、医療機関で精神的な状態が確認されたときくらいだと思います。
だからこそ、「行きたくない」という言葉を「意思の問題」として片付けるのでも、「行けないはずだ」と過剰に心配するのでもなく、ただ丁寧に聞いてあげることが大切なのだと思います。
「ゲームくらいいいじゃない」が、じつは足を引っ張っている

不登校気味の子どもを持つ親御さんが、よく陥るパターンがあります。
学校ではやりたくないことを我慢させている。だから家ではやりたいことをさせてあげたい。その気持ちは、まったく自然なことだと思います。子どもが頑張っていることは確かだし、家くらいは自由にさせてあげたい。
でも、ゲームやスマホを制限なく使わせた結果、夜更かしが増え、朝に起きられなくなる。学校は日中にあるのに、生活リズムがそれに合わなくなってしまう。
「親が管理できないものを、子どもに与えないでほしい」
これが、正直なお願いです。反発が怖い気持ちはわかります。嫌われたくない気持ちもわかります。でも「嫌われてもダメなことはダメと言える」覚悟が、子どもの生活を守ることにつながります。ご褒美システムは管理がとても難しく、慣れてくるとさらに欲しがるようになります。与えるなら、ルールとセットで。
学校への期待が、親を追い詰めている

休み始めた子どもを持つ親御さんと話すとき、「子どもがつらい」というより「子どもが行かないのがつらい」という言葉を聞くことがあります。
仕事に集中できない。このまま引きこもりになってしまうんじゃないか。世間にどう説明すればいいのか。頭では「行けなくてもいい」とわかっていても、不安は止まらない。
その気持ちを受け止めることしか、教師にはできないことがほとんどです。家庭のことには踏み込めないし、時間的な余裕もない。学校として「何か手を打たなければ」と動くこともありますが、それが本質的な解決になるかどうかは、また別の話です。
問題の根っこは、学校に行くことが「目的」になってしまっているところにあるのかもしれません。学校は、学ぶための「手段」のはずです。その前提を取り戻せたとき、親も子も、少し楽になれると思います。
「見守る」と「放置」の境界線
「見守っているつもりが、放置になっていないか心配」という声もよく聞きます。
その境界線は、シンプルに言うと「子どもが助けを求めたとき、受け止められる準備があるかどうか」だと思います。
子どもの話を聞いて、さまざまな可能性を加味しながら一緒に考えられるかどうか。それができる親になるために必要なのは、特別なスキルではありません。形はどうあれ、子どもと関わる毎日の習慣をつけること。それだけで十分だと思います。

子どもは、ちゃんと考えている

最後に、一番伝えたいことを書かせてください。
手取り足取り教えなくても、子どもは子どもなりに考えています。親が全部を決めてあげようとすると、子どもは自分の意思よりも親の意見を優先するようになっていく。「誰かがなんとかしてくれる」と思って、自分でトラブルを解決しようとしなくなっていく。
もし今、我が子の不登校に悩んでいるなら、まず自分自身の習慣や言動を振り返ってみてください。子どものせいにするのではなく、自分に変えられることがないかを考えてみる。それが、前に進むための唯一の方法だと思っています。
過保護でも、放置でもなく。「子どもを信じて、あえて手を放す」。
親は親の、子どもは子どもの人生を謳歌しましょう。


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